【vol.42】【国際経済のいま】【政治の主戦場を「国会」に】

NEWS万里の風 【vol.42】

≪国際経済はいま≫

東京にて、48年ぶりに国際通貨基金(IMF)・世界銀行総会が開催されています。188カ国の財務相や中央銀行総裁らが一堂に会して国際経済の情勢を分析する年次総会です。
10日、私はジム・ヨン・キム世銀総裁およびリプトンIMF筆頭副専務理事と懇談の機会がありました。いま、大恐慌以来の危機で世界は苦しんでいるけれどアジアは引きつづき成長が見込めるとの分析や、また南米、中・東欧、アジア、ヨーロッパと、ある危機を乗り越えると別の危機が襲ったここ20年のなかで今、欧州危機を克服する先進国の責務こそが新興国や途上国の支えになること等が強調されていました。
本来、途上国への支援がIMFや世銀の役割のはずですが、逆転現象のような状況が生まれるほどに国際社会が変化しているといわざるを得ません。NGOで各地の貧困や新興国の現場を目の当たりにしてきた私の経験からもそれは言えます。今回の総会でもそれらの国々の存在感が増していました。
また、キム総裁は内科医であり人類学者ですが、科学者としても気候変動リスクの深刻さを語り、孫の世代に食料が不安定になり安全保障が脅かされないようにする我々の責任や、いわゆる温暖化の対策こそが成長分野であることに民間企業は気づくべきだと強く訴えたのは印象的でした。
この3年間、再生エネルギーや省エネルギー促進策を中心に取りくんできた私にとって、我が意を得たり、と勇気を得る会合ともなりました。

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≪政治の主戦場を「国会」に ・国会のルール改革・≫

経済面にかぎらず、“世界”はこの半世紀のあいだに大きく変化しています。にもかかわらず、いまの国会のありかたやルールそのものが時代の要請に応えるものになっていないのではないか。こここそ、改革をすすめるべきです。
まず、「会期」の存在です。内外ともに難問が山積しているなか、通常国会が閉会してから1カ月、国会の動きが実質止まっています。
我が国では、一年中開会される通年国会ではなく「会期」が定められ、そのたびに開会と閉会を繰り返します。その結果、法案の中身をきちんと議論してものごとを決めることよりも、会期末に継続扱いとしなければ法案は廃案になるため、法案の審議日程を中心に国会運営が進められている現状があります。
いわゆる「国対政治」です。政局優先のような状況に陥り、決められない政治の原因がここにもあります。なかなか審議に入らず、ところが国対からGOサインが出ると超特急で審議がすすむ様に、この3年間、どうしても違和感を拭えません。
議論の過程をオープンにすることも時代の要請です。そのためには、通年で国会が開かれるような国会運営に変えることを真剣に考えねばなりません。
そして、小学校で習ったように国会は「立法の府」です。議論の活性化のためにも、国会議員が法律をつくり議員立法をもっと活用していく国会に改革しなければなりません。
そのためには議員立法案の提出要件を減らしたり、内閣提出法案の審議が議員立法案に優先する慣行を変えていくことが必要だと思います。
政府がつくる法案が机上の作文であるとは言いませんが、多くの人びとのくらしに日々接している議員こそが、自分の目で見て、耳で聞いてきたことを法案化するのが理想であり、そのための主戦場を「国会」とすべきです。
スピード感が求められることも、これまた時代の要請です。国会の慣行から脱し、さまざまな国内外の難題にすばやく対応できる国会へと改革してまいります。