環境と成長戦略

稲

今年の夏は、観測史上初の雨量とか最高気温といった気候の変動が続き、各地で豪雨はじめ水の被害に見舞われました。

広島では局地的な豪雨による土砂崩れによって多くの方が犠牲になられました。今も行方不明者の救出にむけて懸命な作業が続けられています。あらためて、犠牲者の方々のご冥福をお祈りするとともに行方不明者の一刻も早い発見を心から祈ります。

国や自治体による災害対策の見直しはもちろんのこと、中長期的な視野にたって、異常気象や気候変動への対策に、いま一度、真剣に力を入れるべきです。

豪雨や猛暑の原因はすべて地球温暖化ばかりではありませんが、大きな影響を与えるCO2排出量を減らして温暖化を抑制することは、ずいぶん前から先進国の責務でもあります。人類は豊かさを求めて石油や石炭を消費しCO2を排出してきましたが、化石燃料を大量に消費し続ける社会は持続可能ではありません。

私が現職時代に最も力を入れたのが、この分野です。「地球温暖化対策基本法案」が国会提出された際には、衆議院の代表質問に初めて立ち、1年後に、再生可能エネルギー促進法の制定を実現しました。

しかしその途中、311の大震災と原発事故に直面し、温暖化対策の議論はストップしてしまいました。それ以上に、エネルギー需給を最優先するため、減少傾向にあった石油や石炭による火力発電所をフル稼働させたため、CO2は増えています。

パッシブハウス+

 いま一度、ネジを巻き直すべきは、CO2排出しない再生可能エネルギー普及に力を入れることと、エネルギー消費をできるだけ減らす省エネルギーをすすめることです。たとえば、上の写真は、高い断熱性や省エネ性を基準としたエコ住宅。こうした取り組みは、温暖化防止に資するだけでなく、健康にも良く、日本の成長戦略の核となりうることを、繰り返し、述べてきました。

再生可能エネルギーは、2年前に促進法がスタートし、今年4月までに977万キロワット発電能力が増えています。原発約10基分にあたります。太陽光だけでなく風力や地熱、バイオマスをさらに増やしていくことが期待されますし、なにより、日本の多様で豊かな自然を活用した再生エネルギー産業を地域主導で育てることは過疎化のすすむ地方経済の活性化につながっていきます。

アベノミクスの成長戦略では、 どこまで実体経済の回復につながるか大いに疑問です。むしろ、企業間や地域間の格差を広げるのではないでしょうか。

公害を克服した先進国として、防災にも、健康にも、地域経済にも、環境にも資するグリーン経済を核とした成長戦略をしっかり打ち出すときであると思います。