性犯罪の刑法改正にのぞむ

6月8日、衆議院本会議で、110年ぶりの法改正となる性犯罪の刑法改正法案が可決された。これから参議院の審議が始まるが、今国会で必ず成立してほしい法改正である。

衆院法務委員会での審議はたった1日のみで、参考人質疑もなく、法案採決されたことには強い違和感を覚える。共謀罪法案を優先して、刑法改正法案を後回しにするなどして国会対策の具に利用されているとすれば、あまりにひどい話だ。

女性の国会議員が一人もいなかった100年来の時を越えて、日本は、性犯罪をどのように社会に位置づけるのか、本質的な議論をして改正法成立させてほしい。なぜなら、我が国は、性犯罪や性暴力に対する一般意識はまだまだ低く、被害者の側に社会的な圧力がかかったり、女性を責める風習が残る。声を出したくても出せず、見過ごされてきた被害者がどれほどいることか。世界的にみて、性暴力に関する日本の人権感覚の遅れは深刻であり、とくに子どもに対する性犯罪は先進国諸国では絶対に許されない。

日本の場合、むりやり性交を強要された女性のうち、どこ(だれ)にも相談しなかった人は67.5%、約7割にものぼる。警察へ届けた人はたった4.3%。そのうち、強姦の起訴率は37.2%にしかならない。

捜査の仕方にも被害者が屈辱や精神的苦痛を感じる状況を強いられるといわれ、「時効」が撤廃されないのも性犯罪をつねに監視し、追いかけ、過去のものにしない姿勢を貫く諸外国のケースとは雲泥の差がある。

今回の法改正では、

まず、強姦罪が「強制性交等
法定 の下限が引き上げられる
被害者の告訴がなくても起訴ができるようになる。

しかし、ある暴行が性犯罪と認定されるにあたり高いハードルがある点はまだまだ見直しが必要であると思う。これは、被害者が抵抗していたかどうかを基準とするわけだが、立場が上の人間や教師などから性暴力を受けた場合、抵抗などできるわけがない。あるいは、あまりの恐怖で心身ともにフリーズすることだってある。

 性犯罪があまりに軽く見過ごされている現状は、女性にも男性にも安心な社会とは言えない。
 「先進国」らしい法改正をのぞむ。

 

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