消費減税が必要だ

10月1日、ついに消費税が10%に増税された。
しかも、軽減税率という複雑かつ不公平なしくみを導入してスタートした。

欧州のように食料はじめ生活必需品は0%という軽減税率にするなら、
まだ分かるが、8%は「軽減」ではなく「据え置き」でしかない。

今もってなお、デフレ脱却は達成されず、日本経済は長期停滞しており、
2014年の消費税8%引き上げによって家計の消費は前年度比マイナスが
5年連続しており、実質賃金は下落が続いているのが現状である。

財政再建の議論も必要だが、年々、格差の広がる生活の実態をみると、
金持ちも低所得者も同じ税率で「公平な税」とは言えない消費税は減税し、
需要を喚起し、内需を伸ばして経済と生活を立て直すことが先決ではないか。

そのために、消費増税ありきの考えを一度リセットして、
税制全体を見直す議論をスタートすべきであると強く感じている。

消費増税を決めた時から8年が経ち、社会も大きく様変わりした。

全労働人口の約40%が非正規社員。そのうち7割近くが女性。
非正規の平均年収は約175万円(月14万5千円)。
ひとり親家庭の2人に一人、子どもの7人に一人が貧困という一方で、
安倍政権下において企業の内部留保は増え続け、
過去最高の463兆円にまで積み上がっている。

世界経済も、米中貿易戦争や英ブレグジットなどで不透明感を増し、
(まだトランプ大統領も誕生していなかった)
何兆円も売り上げながら納税していない企業が多く存在するなど、
かつてない不公平感が各国に広がっている。

個人でも、法人でも、税というのは「公平」でなければならない。

消費増税ありきで税を考えるのではなく、
いまの情勢やデータと将来予測のもとで、
所得税や金融課税などを含めた税制全体を見直すなかで国の財政を考え、
国民生活の安定のための新しい社会をめざすことが必要ではないかと思う。

ちなみに、2012年消費増税法の前提条件は、いまや、すべて崩れている。
1つは、附則第18条の景気条項、つまり、景気が良くないと判断されれば増税を見送るという条項が、2015年度の税制改正で削除された。
2つめに、「身を切る改革」であった国会議員の歳費20%削減はすっかり消え、国会の議員定数は削減どころか定数増となった。
3つめは、消費税の逆進性対策として給付付き税額控除(還付する)だったはずが、より低所得者の負担が大きくなる軽減税率が採用された。

社会保障と税の一体改革としながら、消費税収はすべて約束どおり、社会保障財源となっているのかも不透明なままである。

つまり、消費税10%は実行されたが、その負担をお願いした国民との約束は、
すべて反故にされていると言わざるを得ない。

税の原則は「公平・中立・簡素」。
国民生活の安定のための税制はいかなるものか、
日本の経済を立て直すために何をすべきなのか、
本当に「公平な税」とはなんなのか、原点に戻り、考えていきたい。