【国会質問TV中継①】核に頼らない安全保障を


第211国会が始まりました。

この通常国会は6月まで、と、最も長い国会であるとともに、
来年度の予算案114兆3812億円を審議をする重要な国会です。

このたび、くしぶち万里は、衆議院の予算委員会の委員となりました。

れいわ新選組が本予算案の審議で、
予算委員会に一議席を得るのは初めてのことです。

貴重な一委員の席を預かり、
この国に生きるすべての人々のいのちと暮らしを守るため、
積極財政を訴え、全力で取り組んでまいります。

さて、1月31日(火)には、早速、総理に対して、
NHK中継入りの質疑に立ちました。

総理は、施政方針演説で「歴史の転換点」と繰り返しましたが、
歴史を後戻りさせないために、

れいわ新選組は、
「この国を守るとは、あなたを守ることから始まる」を掲げ、

徹底的な財政出動で、
生きててよかったと思える国づくりをめざしていきます。

さて年初、山本太郎代表は、来年度予算案について、一言で表現するなら、
「異次元の売国棄民予算」である、と指摘しました。他に言いようがありません。

過去最大の114兆3812億円の予算案について、
膨張分の7割を占めるのは、
アメリカに要請されたと言われる防衛費の増額であり、
その中身は「異次元のミサイル爆買い」です。

政府は、威勢よく「反撃能力」や「抑止力」と言いますが、
アメリカから大量購入したトマホークが
周辺国の行動を抑制する力になるのか、極めて疑問です。

むしろ、互いが軍拡競争となってリスクが増える悪循環に陥る危険性があります。
正面から対抗する場合には、またミサイルを増やし、そのたびに増税するのですか?

あり得ません。しかも、誰を守るものなのか?

日本が攻撃されていなくても、他国を攻撃することがあり得るのが、集団的自衛権です。

他国からの反撃として「核兵器の使用」まで想定しなければならず、
その壊滅的なリスクについて、私たちは、全く知らされないまま、
安全保障政策が大転換されることが決定されました。


この予算案では、過去30年間も賃金が上がらず、
コロナ災害と戦争による物価高の三重苦にいる国民を
まったく救うことができません。

それどころか、特定の人々だけを潤す「戦争経済」に
国民を引きずり込む恐れがあるのではないでしょうか。

いま政治がやらなきゃいけないことは、
これを反転させて、
国民の生活底上げと経済回復を最優先させること。

それが本当の意味での「国力」の維持であり、
真の国防である、と考えます。

れいわ新選組が求める「消費税の廃止」、
最低でも、消費税減税を、今すぐ実行し、
物価高を抑え、国民を救っていただきたいと思います。

さて、総理に、外交について伺いました。

「国家安全保障戦略」は、5年10年と期限を決めて、防衛力の方針・予算・財源を示していますが、
外交については、具体的な方針が見当たりません。

敵基地攻撃能力を保有すれば、その反撃は「核兵器の使用」まで想定しなければならず、
核からの脅威を防ぐために何をするのか?

ミサイル軍拡競争となれば、その先にあるのは「核抑止の強化」「核共有」
場合によっては「核武装」という議論にもなりかねない点は、大いに、懸念しています。


ウクライナを見てほしい。各国は戦車や武器などを次々と送っていますが、
アメリカもNATOも、ウクライナ側に立って、直接戦争に参加しようとはしていません。

戦争に加われば、ロシアと全面戦争になり、
最後は、核戦争につながる可能性があるから、と言われています。

今回の安保3文書にしたがい、日本が他国へ敵基地攻撃能力を行使すれば、
その国は、当然、日本各地を攻撃することになりますが、

それがエスカレートした時、アメリカは日本を守ってくれのでしょうか?
日米安保条約があるといっても、結局、
アメリカがどうするかは、アメリカ自身の国益で判断されます。

中国を相手に戦争となれば、今度は日本が、
核の脅威にさらされる可能性、核戦争につながる危険性があるのです。

それならば、その危険を除去する外交努力が必要ではないですか?
ここに、「非核兵器地帯」となっている国々の世界地図を示します。

具体的に、「非核兵器地帯条約」という安全保障、
世界にはこれだけ、「核抑止に頼らない安全保障」の枠組みがあります。

核保有国は非核地帯となったエリアに対して、
核兵器の使用も威嚇も行わないと法的な保証を与えるものです。

これを、核保有国がひしめく、北東アジアで進める努力をしてはどうか、
それこそが、日本の国益に叶うのではないでしょうか。

「そんなことは日米安保条約がある限り不可能だ」と思われるかもしれませんが、
しかし、実際に、米国と軍事同盟を結ぶオーストラリアは
「ラロトンガ条約」に参加することで、
ロシアや中国から核攻撃をしない、と法的拘束力のある保証を得ています。

日米安保条約と非核地帯は、両立できるはずじゃありませんか。

こうした、徹底した平和外交の努力をしていただきたい。

日本は、米中対立の最前線で戦うのではなく、
こうした南半球の、グローバル・サウスの国々と協調して、
アメリカにも中国にも働きかけていくことこそ、
日本が選ぶ道ではないでしょうか。

グローバル・サウスとは、
東南アジアやアフリカ・中南米など南半球の国々のこと。
ほとんどが非核地帯条約を締結しているわけですね。

1962年のキューバ危機から始まり、120カ国以上が加盟しています。
いま60年経ち、現在のウクライナ危機から戦争となった今、
今度は、北半球の国々に「核抑止に頼らない安全保障」を広げていくことが必要であると考えます。

我々は、ヒロシマ・ナガサキの悲劇を知る唯一の被爆国です。
一方、北東アジアには核保有国が集中しています。

日本には歴史的な使命があることは、予算委員会で度々、私は申し上げてきました。

昨年11月予算委員会でも使ったパネルですが、もう一度、見ていただきます(上記04)。

日本と韓国そして北朝鮮が非核地帯となり、
その3カ国に対して、アメリカ、中国、ロシアの核保有国は
核兵器の使用も威嚇もしない法的拘束力のある枠組みを作ろうというものです。

「北朝鮮は無理だろう」と思われる方が多いと思います。
確かに、決して簡単な話ではありません。

しかし、過去に北朝鮮は「核のない朝鮮半島」の実現に向け、外交的な合意をしています(パネル05)。
そこへ戻る外交努力が、必要ではないでしょうか。

北朝鮮のミサイル多発を防ぐためにも、これまで常に頓挫をしてきたからこそ、
この外交合意に立ち戻る、ということを促す周辺国の粘り強い努力が必要と考えます。

この合意に立ち返ることができれば、

①朝鮮半島の非核化(南北)+非核三原則(日本)の3カ国による非核地帯条約を締結
②米国、中国、ロシアの3核保有国は「非核地帯」に対して核兵器の使用と威嚇は行わないと法的保証
③北東アジアの非核兵器地帯構想の実現

というステップを踏む基盤を整えることができます。

今年は朝鮮戦争休戦70年目でもあります。6カ国協議に戻す、という視点も大切になってくるでしょう。

私は政治家になる前、冷戦が終わった頃から20年近く、
アジアはじめ80カ国で平和構築の仕事をしてきましたが、そのなかで、

日本の憲法には、尊敬や信頼が集まっていたことを肌で感じてきました。
軍事よりも経済を優先させて戦後日本の復興と経済成長を果たした国づくりは、
とくに、紛争の絶えない地域から尊敬を集め、
それが、外交力や国益につながっていたと実感しています。

今回の安保3文書と防衛費倍増によって日本は世界第3位の軍事大国に姿を変えることになります。
総理は、それを「安全保障政策の大転換」と言いましたが、
これまでの平和国家・日本への信頼や外交力が失われていくかもしれません。

ヒロシマとナガサキの悲劇を経験した我が国の役割は、むしろ、
「核に頼らない安全保障」の枠組みに努力し、地域の平和と安定を主導していく、
そのための徹底した平和外交である、ということを引き続き求めていきます。