【再生エネ・いよいよ大詰め】

再生可能エネルギー法案成立までの動きが注目を集めています。
先週10日には、経済産業・環境・農水の各衆院委員会との合同審査会が行われ、引き続き、経産委員会で単独質疑。同日の朝、自民党の修正方針が示され、自公で取りまとめた修正法案が11日午前中に提出され、夜までの協議を経て3党合意までいきました。しかし、翌12日午前に経済産業委員会で最終質疑そして採決かと思いきや、急遽、開始15分前に委員会中止・・・。郵政改革法案絡みの野党の対応に影響を受けるという、一般的にはなかなか理解し難い事態で19日へ持ち越しとなりました。今週国会での最大の焦点ですが、19日に予定どおりいくかどうか。
さて、修正案の内容です。一時は普及後退するような案も浮上しましたが、一転して、全体的に再生エネルギーの弾力的な普及拡大につながる法案になったと思います(系統接続の部分がまだ気になるが)。こんな猛スピードで修正協議をやるのかと驚きつつも、よく考えてみると、決して野党の一方的な内容ではない環境が、既にこれまでの質疑のなかにも、党内にも整っていたことを実感しています。
まず、買取法案ですから価格設定が重要なわけですが、価格決定のありかたについて透明な手続きを図るために国会関与が法案明記されたのは、審議入りの際、与野党理事でドイツを視察して事例を共有されたことが大きいでしょう。与野党とも質疑のなかにそれは表れており、私の参考人質疑でもお聞きした箇所です。施行後、「調達価格等算定委員会」が設置されますが、5名の国会同意人事による選定が大切なポイントになってきます。
また、3.11震災を受けて、党の環境部門に「再生可能エネルギー推進WT」(座長・大谷信盛、事務局長・櫛渕万里)が設置され多くの議員による議論と提案がありました。4月以来、週一回のペースで合計16回にわたる会合と5回の現地視察(洋上風力、地熱、小水力、木質バイオマス、火力コンバインドサイクル等)を行い、研究者や各事業者の生の声を多くお聞きしました。それらを2つの提言書(5月・8月)として取りまとめ、党政調へ提出。党の環境エネルギー戦略PTに引き継がれ、7月末には中間とりまとめも行われました。

今回の修正案に盛り込まれた、国際競争力および産業育成や地域活性化への視点はもちろん、エネルギー種類別の買取価格・期間の設定、電力多消費産業への配慮、規制緩和や手続きの簡素化、東北被災地の負担軽減などはWT提言書にも入っています。 さらに付帯決議案をみると、接続義務の取り決め、周波数の統一、蓄電池の普及、電源開発促進税の活用、地域のオーナーシップなど共通する記載が多くみられます。
WT提言書では、東北地方を災害に強い自立・分散型で再生エネルギーの一大拠点とするよう具体的な施策も盛り込んでいますので、こちらは第三次補正予算につなげていくことに注力します。
なお、付則案で、最初の3年間は「促進期間」として事業収益性を特別に考慮することが新たに入り、第6条の「2020年までに法律の廃止を含めた見直し」については「抜本的な見直し」に修正。法律にかかわることなので、だいぶ細かな話になりました。まだまだコスト低減化や優先接続など気になる部分もありますが、日本で初めてとなる「全量固定価格買取制度(FIT)」です。ドイツのFIT成立は1990年。かれこれ数次の改正を経て、2010年電力の17%が再生エネルギーで賄われています。日本でも、再生可能エネルギーを大きく育てていくためにまずは法案成立を。あと一歩です!