障害者権利条約とこれから

障害者権利条約3+

16日、関戸公民館にて、今年1月の障害者権利条約批准をテーマにした市民企画講座に出席。DPI日本会議の佐藤聡事務局長より、障がいをもつ当事者としての経験と運動そして法律制定と条約批准にいたるまでの話をお聴きし、意見交換しました。

「自立ステーションつばさ」の皆さん、ありがとうございました。

障害者権利条約2+

2009年12月に障害者制度改革がスタートしてから、2010年に障害者制度改革推進会議が設置され、積み残された多くの課題はあるものの、2011年に障害者基本法の改正、2012年に障害者総合支援法、2013年障害者差別禁止法にあたる差別解消法と、国内で3つの法律改正及び制定が集中的にすすみ、今年1月の障害者権利条約の批准にいたりました。

私の現職時代に制度改革がスタートしましたが、特徴的だったのは、新しい制度を議論する政府の推進会議に、障がいをもつ当時者の皆さんが参加人数の半分をしめて数時間の議論を重ねるプロセスでした。これは手法面における大きな改革であったと思います。

官僚主導に陥らない手法として、政策決定プロセスに、あるテーマや分野に関係する当事者が、一定程度の人数参画するのは、当時、障害者施策だけでなく、NPO法改正や貧困・自殺対策、子ども・子育て法なども同じでした。参加型民主主義を定着させる手法として、今後も活用すべきです。

障害者権利条約+
佐藤さんを囲んで、多摩の阿部市長と大野まさき市議と。

大切なのはこれからです。障害者差別解消法はあと2年後に施行されますが、何が差別にあたるか、それまでに作成されるガイドラインは、必ず、障がいをもつ当事者が参加して決められるプロセスでなければなりません。

「20年前は障がい者が外出するのはほぼ不可能だった社会に介助制度などができて地域に出られるようになり着実に変わってきた。この『差別解消法』で新しい段階に入る。法律をより良くして、2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えたい。そのことが東京の街そのものや暮らし全体を良くすることにつながる」、印象的な佐藤さんの発言でした。

今回の「差別解消法」の制定では、障がいをもつ人に対する配慮について法的義務があるのは行政のみ。紛争解決のしくみも具体策は不十分で、3年後の見直し論議にゆだねられます。

町田市が、日本で初めて車イス専用車を導入したのは1972年の約40年前。どれだけ時代に先駆けた決断と努力であったことかを想像します。多摩の阿部市長は最後まで講演に参加。

2016年4月に差別解消法が施行されるにあたり、自治体のそれぞれの取組みがより重要になってきます。2020年までに、インクルーシブ社会の実現をイメージしていきたいと思います。