気候変動対策の基本法を

5月26日、「地球温暖化対策推進法案」が可決成立しました。

世界全体の平均気温上昇を産業革命前より2℃より充分低く、1.5℃に抑える努力を追求するというパリ協定の目的に沿い、日本もようやく、2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする政府方針を「基本理念」として法律に明記したものとして評価したいと思います。

そもそも、地球温暖化対策推進法は1997年の京都議定書の採択をきっかけとする法律に改正を重ねたものであり、温室効果ガスを「抑制する」と表現された点はいかにも古く後ろ向きぶりを象徴するものでした。亀のような歩みですが、今回「削減する」に改正されました。

また今回、地域における自然エネルギーの「促進地域」が設けられ、これまで懸念されていた環境破壊をおこす大規模開発の歯止めとして、あるいは、「地域主導」の自然エネルギーが促進される環境づくりが期待されます。すでに先進自治体では条例で取り組まれているところもありますが、市町村レベルが実効性を持つには、国からの積極財政で人・情報・資金の支援が不可欠だと思います。しかし、財政措置は担保されていません。

この枠組みがきちんと機能すれば、自治体が燃料を外から購入せずとも域内でエネルギーを作り域内で消費する循環型経済の可能性を後押しする一歩が生まれるでしょう。自治体財政としても、これまでの燃料経費を社会保障費や都市計画などに回すことができ、地域の自立や地域再生、ひいては国のエネルギー安全保障に資するきっかけとなります。適切な運用により、地域に新しい産業やグリーン雇用が生まれ、衰退した地方経済の活力となることが期待できます。

私は、本来であれば、「気候変動対策」の基本法をつくり、
自然エネルギーを最大限導入して省エネを促進する「緩和策」の柱と、
災害対策や危機管理、感染症予防や農業の保全などの「適応策」の柱を両輪とし、
2050年目標や2030年目標をきちんと法律に明記した上で
国による積極的な財政措置を担保するものが必要と考えます。

日本でも巨大台風や豪雨など気候危機が私たち自身の暮らしの中で身近にますます感じられるようになってきたと思うからです。

今や、自然エネルギー100%をめざす企業も増え、自治体の取り組みも広がり、若者はじめ市民意識も高まってきました。世界では再エネが最も安い電源になっています。

私は、今回の改正にとどまらず、まだまだ法律をアップデートすべき点もあると考えますし、れいわ新選組は「脱原発・脱炭素・グリーンニューディール政策」を包括的に提案し、「共存のための強靭な経済」をめざしていきたいと思います。

単に自治体や民間企業の自助努力に期待するのではない、国が積極財政で後押しする政策パッケージを、また、別項で書いていきます。ご期待ください。