性犯罪刑法改正にむけて


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2017年、110年ぶりに、性犯罪刑法が改正されたことをご存知でしょうか。

明治時代、つまり、女性には参政権がなく家父長制が敷かれていた時代に男性によって制定された刑法、そして、21世紀に入っても男性中心の政治や司法の世界でその後も運用され続けてきた刑法がようやく一部改訂されました。

しかし、多くの課題を残していたため、その点は、3年後を目処にさらに見直すことが附則で定められ、2020年度から法務省の検討会が進んでいました。

5月21日、その検討会の取りまとめ報告書が公表されました。

今回のポイントは、性被害にあった当事者や、声をあげられず泣き寝入りを強いられてきた被害者の声に寄り添える刑法改正を提言することにあったと私は考えます。

その視点からみると、残念ながら、検討会の報告書は当事者の声が十分に反映されているとは言えません。

例えば、強制性交罪を成立させるための「暴行・脅迫」要件について改正は不要とする意見が一部認められたり、性交同意年齢についても現行の13歳を引き上げることの賛否が分かれるなど、このかん、性暴力に対する無罪判決が続いてきた現状を変えられるとは言い難い内容です。

想像してみてください。「暴行・脅迫」を受けた時に、果たして、抵抗したり拒否したりする圧倒的な力や正当な環境が被害者側にあるでしょうか。恐怖のあまり、体が硬直したり声も上げられない状況に置かれることの方がよほどリアリティがあります。だからこそ、先進国では「同意なき性交」は処罰対象として不同意性交罪が成立するよう法改正が進んできました。

また、性交同意年齢についても、現行の13歳は少女であり少年です。性教育もタブーな日本社会において、中学生が自己の体の知識等の不十分な状況下で大人と同等の判断や「同意」への責任が取れるでしょうか。私は、難しいと思います。最低でも、16歳へ引き上げることが必要です。

法体系上、刑法の厳罰化を求める議論においては慎重な検討も必要なことは理解します。しかし、性被害は3人に1人と言われ、その90%は女性であると言われるなか、性暴力事件として立件されることはおろか警察に被害届さえ出せないのが大半であるのが現実です。

私自身、以前にストーカー紛いの被害にあい、被害者の立場がいかに辛いものかを経験しています。このような思いを二度と他の人にさせたくない、子どもを含む被害者をこれ以上生んではならないと強く思います。

被害者に寄り添った刑法改正を実現させるため、国会は、今回の法務省検討会の報告書レベルを超えた真摯な議論を展開してほしいと思います。