なぜ公文書改ざんされたのか、不明のまま

森友問題の決済文書改ざんが明らかになった、この一週間。
ようやくブラックボックスの蓋が開き、その実態は想像以上に深刻です。

加計問題についても公文書改ざんの疑いが指摘され、
改めて、先の衆議院総選挙は、
この二つの問題を「なかったことにする」ために、
首相の解散権が乱用され、
政権延命のために総選挙を利用したことが裏付けられたように思います。

これらの事実を知らされていれば、国民の選択は変わっていたかもしれません。

公文書改ざん行為が、二重に罪が重いと思うのは、
「あったことを、なかったことに」抹消するだけでなく、
「ないはずのことが、あったことに」作られていく、
つまり、改ざんされた文書を根拠にして、
本来なら起こり得ないはずのことが「事実」化していくという、
もう一つの面を見逃してはならないと思っています。
やや大げさにいえば、不正に歴史がつくられていき、
その被害者となるのは、国民です。

じっさい、見てみると、
森友問題では、小さな子どもたちに安倍総理バンザイ!をさせる塚本幼稚園
の教育方針に共鳴した昭恵夫人が名誉校長の小学校話がご破算になったとたん、
悪いのは、すべて籠池氏という「事実」がつくられようとしていました。
いまも長期勾留が続いています。
財務省職員の自殺も、本来なかったはずの悲劇で本当に胸が痛みます。
国民の受けた被害は、一年にもわたる隠蔽国会に費やされた時間とコスト。
なによりも、主権者として、政治と行政に対する信頼の土台が破壊されました。

加計問題はついては、総選挙後すぐに獣医学部の開設が認められ、
来月4月に新設学部がスタートされます。県と市は約93億2千万円の補助金を決め、
国は、今後毎年、私学助成金として加計学園に数百億円を充てることに。
私たちの多額の税金が、疑惑の当事者に渡る代わりに、もし、
この数百億円の予算を給付付き大学奨学金の拡充や教育無償化などに
充てることができればと思うと、子どもたちはじめ国民や社会が受ける
被害(あえて、被害といいます)の大きさは測り知れません。

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「公文書管理法」は、単なる、行政文書の保存ではありません。
公文書として歴史的事実の記録保存が併記されており、
「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」として位置づけられています。

第一条で「現在および将来の国民への説明責任を全うすること」が目的とされており、
ここで重要なのは、
政策の意思決定の結果を残すだけでなく、
なぜ、そのような意思決定をしたのかというプロセスの検証が重要と言っていることです。

しかし今回、決済文書の改ざん行為を認めた後でさえも、
財務省による調査結果から、次々と新たな事実はでてきますが、
なぜ、公文書が改ざんされたのかは、理由もプロセスも一切見えてきません。

政治の関与があったことが疑われているのですから、
泥棒が泥棒を調査するようなやり方ではなく、外部識者もいれ、
国会で調査委員会を組織して徹底解明を急いで欲しいと思います。

いまの「公文書管理法」が成立したのは、皮肉にも、9年前の麻生政権末期。
その後、民主党政権が情報公開の重視とともに法律施行に至るプロセスを、
私も現場にいてよく覚えています。しかし、先進国として、
日本は公文書管理のあり方そのものが全く遅れていること自体、問題で、
そうした現状を許しているのは、
情報開示や行政の透明化に緊張感が生まれないという意味において、
政権交代の可能な政治が根づいていないことが、大きな要因であると思います。
民主主義の根本です。

今回のことで法律に罰則規定を盛り込むことの検討や、
公文書管理において記録保存とは別に、政府活動の適正性をどう測り、
監視していくのか、徹底した議論が必要だと思います。

だからこそ、この問題を、徹底解明することが必要であり、
行政の劣化と官僚の背信行為だったというストーリーにせず、
どのような政治の関与があったのか
なぜ国有資産を8億円値引きしたのか、誰が判断したのか。
加計学園獣医学部の設置認可の根拠は何か、

政治の私物化と腐敗を断つべく、
国会が総力をあげて徹底究明してほしいと思います。