【国会質問】組み替え動議、反対討論そして「牛歩」。

2月28日の本会議採決で、「牛歩」をしてでも徹底抗議の意思を示したのは、永田町の外にいる国民の皆さんへ予算案の危険性や「反対討論」にある内容について、きちんと伝えたかったからです。

「牛歩」なんて、誰だって本当はやりたくありません。議場の空気は冷たく、ヤジだらけ。

しかし、総理自らが「歴史の転換点」と述べる過去最大規模の予算案に対して、徹底議論することなくスムーズに可決され、衆議院を通過することには納得できませんでした。

「国を守るとは、あなたを守ることから始まる」
これは、れいわ新選組の綱領の一行目に書かれた、わたしたちの使命です。

壇上で、つい言葉使いが荒くなりましたが、ここは譲れません。

■「反対討論」全文

れいわ新選組の櫛渕万里です。私は、会派を代表して、政府提出の令和5年度一般会計予算案、特別会計予算案、政府関係機関予算案の、いずれにも「反対」、115兆円を積み増した積極財政で国民を救う、れいわ新選組提出の組み替え動議に「賛成」の立場から討論いたします。

我が党の山本太郎代表は、令和5年度一般会計予算案について、一言でこれを表現するなら「異次元の売国棄民予算」である、そのことを指摘し、私たちは当委員会で、たびたびその問題点を指摘してきました。

今回の予算案は、過去最大の114兆3800億円で前年比約6兆8千億円がプラスされ、そのうち約7割が防衛関係費であり中身は米国の言い値で買わされた「異次元のミサイル爆買い」と言わざるを得ません。

政府が「反撃能力」と言い換える敵基地攻撃能力は、日本が攻撃されていなくても、他国を攻撃する先制攻撃にあたるものであり、事実上、我が国の専守防衛を、脅威対抗型の安全保障政策へと大転換させる、形を変えた改憲と言えるものです。断じて認められません。

この予算案では、30年続く不況で賃金が上がらず、コロナ災害と戦争による物価高で三重苦に苦しむ国民をまったく救うことはできません。それどころか、特定の人々だけを潤す「戦争経済」に国民を引きずり込む恐れがあります。

今、政治がやらなければいけないことは、これを反転させて、国民生活の底上げと経済再生を最優先させること。それが、本当の意味での「国力」の維持であり、真の国防であると考えます。

これまで繰り返された消費税増税と緊縮財政によって、所得の中央値は131万円もマイナス、先進国で経済成長していないのは日本だけです。この危機から国民を救うには、積極財政で、消費税廃止と賃上げ、そして一律10万円の現金給付を季節ごとに行い、まず需要を増やすこと。

そして、ゼロゼロ融資の返済を迎える中小企業経営者、奨学金という名の巨額ローンを背負う若者、過労死寸前まで働く学校の先生、年金を減らされた高齢者、命を守る労働をしているのに給料の安い保育士や介護士などを救い、誰もが「生きててよかった」と心から実感できる社会を築いていくことを目指します。

また、3.11の福島第一原発事故を忘れたかのように原発推進に舵を切るGX基本方針には反対し、れいわ新選組は脱原発グリーニューディールで10年間に200兆円のグリーン投資で毎年250万人の雇用を創出します。

我が党の組み替え動議は、この国の未来と、この国に住む人の希望のための予算なのです。

委員の方々におかれましては、政府案の「異次元の売国棄民予算」に反対し、れいわ新選組の組み替え動議にご賛同いただきますようお願い申しあげ、私の反対討論を終わります。

■れいわ新選組の「組み替え動議」・趣旨説明

れいわ新選組のくしぶち万里です。我が党は、令和5年度予算案について、当委員会でたびたびパネルで「異次元の売国棄民予算」であるとして、その問題点を指摘してきました。私は、会派を代表して、この予算案を撤回の上、組み替えを求めるの動議について、その趣旨を説明いたします。

30年続く不況、コロナ災害、ウクライナ戦争による物価高騰、国民生活をこの三重苦から救うために、今こそ、国債を大胆に発行し、消費税廃止や賃上げ、季節ごとの国民一律給付、社会保険料や水道光熱費の減免などを実施すべきです。れいわ新選組は、政府提案予算案のうち、歳入減26兆円、歳入増131.9兆円及び歳出減9.3兆円の組み替え動議を提出いたします。

以下が、概要となります。

まずは、歳入減の26兆円についてです。

1つ目は、消費税ゼロ、23.4兆円減。令和5年度当初予算では消費税収は23.4兆円となっており、ゼロとする場合に失われる歳入を計上します。

2つ目は、ガソリン税ゼロ、2.0兆円減。令和5年度当初予算では揮発油税は2.0兆円となっており、税率を暫定的にゼロにする場合に失われる歳入を計上します。

3つ目は、GX経済移行債の発行停止、0.5兆円減。制度設計が不十分なGX経済移行債の発行を停止する場合に失われる歳入を計上します。

4つ目は、防衛力強化雑納付金の削減、0.1兆円減。国立病院機構特別国庫納付金の422億円及び地域医療機能推進機構特別国庫納付金の324億円を削除します。

また、歳入増について、特例公債の追加による131.9兆円を計上します。

次に、歳出減の9.3兆円についてです。

1つ目は、防衛関係費の削減、4.8兆円減。新たに策定された国家安全保障戦略等に基づき対前年度比1.4兆円増となっている分の削減と、財源確保法案により創設予定の「防衛力強化資金繰入金」3.4兆円を削減します。

2つ目は、予備費の削減、4.0兆円減。「新型コロナ感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」4兆円と「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」1兆円の計5兆円の予備費のうち4兆円を減額します。

3つ目は、GX経済移行債発行対象経費の削減、0.5兆円減。CO2排出削減効果が不透明なグリーンイノベーション基金や原発依存社会へ転換させる次世代革新炉開発事業費など、GX経済移行債発行対象経費を削除します。

4つ目は、マイナンバー関連経費の削減、507億円減。政府の強引なカード普及策は問題であるため、関連経費を削除します。

さらに、歳出増の115.2兆円についてです。

1つ目は、国民一律10万円給付、50兆円増。全国民への季節ごとに10万円を一律給付する、春夏秋冬の4回分を計上します。

2つ目は、社会保険料引き下げ、12.2兆円増。国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険、健康保険の国民負担を軽減します。

3つ目は、18歳までの全ての児童へ月額3万円支給、5.8兆円増。令和5年度の児童手当関連予算は1.2兆円。18歳までの全児童に3万円支給するためには7.0兆円必要であるため、差額を計上します。

4つ目は、より良い教育環境を実現するため教員1.5倍増員、2.1兆円増。教育現場で起きている、過労死レベルの残業、精神疾患、異次元の教員未配置の問題解決のため、現在の教員基礎定数を1.5倍に増やします。経費は、全て国費でまかないます。

5つ目は、奨学金チャラ、9.5兆円増。日本学生支援機構貸与型奨学金の債務免除にかかる費用全額を計上します。

6つ目は、大学院卒業までの教育完全無償化、3.8兆円増。借金なしでも希望すれば大学院まで行ける社会の実現するための、1年分を計上します。

7つ目は、「介護・保育労働者」の月給10万円の賃上げ、3.7兆円増。岸田政権の介護・保育労働者の9000円賃上げでは全く不十分。全産業平均との差を埋めるため月10万円を国庫補助します。

8つ目は、農業従事者への直接支援と酪農経営安定支援、2兆円増。農業従事者への所得補償や就農支援、農産物の買い上げで、国による責任での備蓄や低所得者への食料支援に活用します。我が国の食料自給率を50%まで引き上げる第一歩です。また、酪農経営安定対策予算を倍増します。

9つ目は、新型コロナ感染症対策の継続、4.4兆円増。医療機関への減収補填や医療従事者30万人の臨時雇用とボーナス30万円の支給を行います。

10番目は、生活困窮者向けコロナ特例貸付の返済免除、1.4兆円増。1月から返済が始まった緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付の返済を免除します。

11番目は、無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の利子支払い免除、0.2兆円増。中小企業等を対象とした実質無利子・無担保融資について本年度からの利子支払いを免除します。

12番目は、水道光熱費の支払い免除、14.2兆円増。エネルギー価格の高騰を踏まえ、国庫補助により、水道光熱費の支払いを免除します。

13番目は、医療、雇用、年金、子育て、介護の国民負担増の回復、0.9兆円増。今年度における医療、雇用、年金、子育て、介護の国民負担増を回復させます。

14番目は、脱原発!グリーンニューディールの実現、5兆円増。脱原発!グリーンニューディールを実現するため、10年間で少なくとも200兆円の投資を行いますが、このうち国費分50兆円の1年度分を計上します。

今こそ、「異次元の売国棄民予算」を転換し、積極財政によって国民負担を軽減するための諸政策について、各党の賛同を求め、組み替え動議の趣旨説明を終わります。