【国会質問】GXを廃案に!原子力基本法を改悪するな


4月7日、内閣委員会にて、GX電源法案の一つである「原子力基本法」改正案のリスクを中心に、高市早苗大臣に質しました。あまりに、ひどい内容です。

我が国は、未来永劫、原発を推進することになりかねません。

「原子力基本法」を所管しているのは内閣府です。5つの法案が束ねられたGX電源法案について経済産業委員会を中心に審議するのではなく、内閣委員会も合同審査に加えるよう、委員長に申し入れました。与野党の理事は、しっかり対応いただきたいと思います。以下、内容です。

(質問時間がわずか15分しかなく、もっと質疑時間が欲しいです。。時間切れとなってしまった後半部分も含めて掲載しています)

◇◇◇

れいわ新選組のくしぶち万里です。

まず冒頭、昨日、陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄上空で消息を絶ったと伝えられました。一日も早く、全員の無事の帰還を心よりお祈りいたします。

さて、「原子力政策の憲法」とも呼ばれる「原子力基本法」の改正案が、このたび「GX電源法案」5つに束ねられ、政府提出されたことに、強く抗議いたします。

委員長、内閣委員会も合同審査に加えていただくよう、お取計いをお願いいたします。


本日は、束ね法案5つのうち、二つの「原子力基本法改正案」と「再処理法改正案」について質問いたします。

まず、「原子力基本法」についてです。今回の改正案を見ると、大きな疑問があります。

まるで政府は、未来永劫、原子力を推進することを宣言しているものです。

エネルギーというのは常に科学技術の進歩で変化するものですが、人類がコントロールできず廃棄物処分もできない危険で未熟な原発の推進に、国が責任を持つのですか?まったく理解できません。

「原子力基本法」を改正する立法事実は何か、他の法律で対応できない理由はどのようなものか、根本的な問いが浮かんでまいります。

「原子力基本法」は、先程申し上げたとおり、「原子力利用の憲法」ともいうべき最も基本的な法律であると関西電力のホームページにも書かれています。今回のように、「地球温暖化の防止」や「国の責務」など、すでに「エネルギー政策基本法」に書かれている内容を盛り込む必要はありません。また、原子炉の運転期間は現在でも「原子炉等規制法」にあり、今回改正案で「電気事業法」にも書き込まれていますね。

①高市大臣、なぜ、理念法であるはずの「原子力基本法」にまで詳細な規定を定めなければならないのでしょうか?

②また、「原子力基本法」改正の議論はどこでなされたのか? 


立法経緯を政府に聞くと、GX実行会議でとおっしゃいますが、実行会議は、法的にみて存在が確かなものとはいえず、本来なら、「原子力委員会」で議論を行うのが筋のはずですが、法改正を議論した形跡は見当りません。高市大臣、この2点、お答えください。

(高市大臣)
(長々と原稿を読み上げる)ウクライナ戦争による影響が...エネルギー安定供給のため、「原子力利用に当たっての基本原則は、法令等で明確化することが望ましい」とされ...云々。

(くしぶち万里)
いや、おかしいんですよ。原子力委員会の「基本的考え方」がまとめられたのは今年2月20日であり、それを政府が尊重すると閣議決定されたのが28日です。原子力基本法改正を含む「GX電源法案」の閣議決定もこれと同じ28日。「基本的考え方」に書かれた「基本原則は法令等で明確化することが望ましい」、これがもとで法改正につなげたとするのは、時系列的に無理があるのは明らかです。

また、原子力委員会の「基本的考え方」を尊重すると閣議決定しながら、司令塔ともいえる原子力委員会に、政府が法改正の案文を示し、議論を求めることもしていません。

立法事実と立法経緯がまったく不明確なまま、基本法に、事細かく、「国の責務」としてエネルギーとしての原子力利用が定められているのは大問題ですよ。

そもそも、原子力委員会の「基本的考え方」はどうだったのか、見ていきます。

理念として「原子力エネルギー利用のみならず、工業、医療、農業分野における放射線利用など、幅広い分野で、人類の発展に貢献しうる」と書かれており、そのもとに、9項目にわたる重点的な取組みがあります。

(パネル1)

「国の責務」として、今回の原子力基本法に盛り込まれた項目は、②の「エネルギー安定供給やカーボンニュートラルに資する原子力利用」です。ここが大幅に書き込まれ、原発の再稼働、長期運転、革新炉の開発と建設そして核燃料サイクルの取り組みが強化されることになります。

一方、⑥「国の関与の下での廃止措置および放射線廃棄物の対応」は、なぜか「国の責務」とされていません。ざわざ、「国の関与の下での〜」、と付言して原子力委員会がまとめているのに、高市大臣、なぜ、廃止措置および放射性廃棄物の対応が「国の責務」とならなかったのでしょうか?

昨年9月の、原子力小委員会の中間論点整理でも「バックエンド問題、全国的な課題で全面に立つべき国の責務遂行(すいこう)」と書かれています。やはり、「国の責務」としてやらなければ進まないと、専門家間では認識されています。

大臣、今、廃炉が決定している原発は、日本全国に何基ありますか?

(高市大臣)
(後ろにいる官僚に聞きながら...)
すぐに答えられなくて、すみません、24基です。

(くしぶち万里)
原子力基本法を所管している大臣なのですから、普通に答えられるはずですよ。運転期間を終えて廃炉となる原発は24基あります。

原発推進だろうと脱原発であろうと、もし、原子力基本法に「国の責務」を盛り込むならば、それは、廃炉そして放射性廃棄物の対応が最優先ではありませんか。

使用済み燃料プールに貯まる燃料は約1万6000トン貯蔵され、管理容量の約76%に上ります。具体的にどのように対応していこうとされているのか?これほど、政府肝入りのGX関連法案で新たな国債を20兆円も出すとしながら、事業者任せですか。

地震や津波のリスクだけなく、いまや、安全保障リスクも最大化しつつあることは、北朝鮮の度重なるミサイル発射一つとっても明らかです。危機感が足りなさ過ぎるんじゃありませんか?、高市大臣。なぜ、やらないのですか?。

廃炉が決まれば発電できなくなり収入がないわけですから事業者任せでは進まない。国がやるしかありません。

なお、れいわ新選組は、公約の一つに「廃炉ニューディール」を掲げています。

原発は即時禁止、国の責任で原発を買い上げ、廃炉を行う国営の組織をつくる。原発立地地域に対しては、「公正な移行」を原則に、経済と雇用の転換を後押しする。

当面は、これまでの電源三法交付金と同等の財政支援し、廃炉技術の研究と専門人材、解体労働者を公務員化し雇用保障していく。その国営組織は地域発展の支援も行っていくものです。

例えば、英国のNDA(原子力廃止措置機関)のような組織をイメージしています。

原子力基本法には、国として廃炉にどう責任を持つのか、こうした姿勢や立地地域への大きな方針が示されていません。ぜひ、高市大臣には考えていただきたい。


さらに「国の責務」として、「エネルギー供給の自律性の向上」という文言が入り、現行の第7条にある核燃料サイクル政策がさらに強化されている点も見逃せません。

六カ所村の再処理工場は昨年26回目の完成延期が発表されています。当初の完成予定は1997年もう25年前ですよ。一説には14兆円とも言われる研究開発費を投じながら試運転中にトラブルが相次ぐなど、すでに破綻は明らかです。

本来、いいかげん、撤退して方向転換しなければならない核燃料サイクルを、今回の改正案で「国の責務」に格上げしてしまえば、政策を固定化し、そこに予算が流れ、一方世界では、2030年頃に500兆円規模の再エネ市場が生まれる状況があったとしても、将来の柔軟性は奪われ、国や事業者ひいては国民生活に深刻な影響を及ぼす恐れがあるわけです。

核燃料サイクル強化を示す文言は、削除すべきです。

GX基本方針は、エネルギーの安定供給を目指しているはずです。我が国の自給率を上げるには純国産エネルギーである太陽光や洋上風力など、再エネ開発導入を加速させ送電網を整備していくことが、安全にも安定にも、環境にも低コスト化にも資する道であると考えます。核燃料サイクルは、間違いなく、国家衰退の道です。


次に、「再処理法改正案」についてお伺いいたします。

今回、廃炉を推進するための機構を「使用済燃料再処理機構(NuRO」に担わせることにしたのでしょうか?大きな疑問があります。

その機構は原発推進のための組織です。そこが、廃炉推進業務を担当し、拠出金の確保や管理を行うというのは、廃炉、再処理、MOX燃料といくら3つの分別管理をしたとしても、一つの「認可法人」で扱われるわけですから、

経済産業副大臣、先程、指摘したように、核燃料サイクルを前提とした再処理は事業として非常にハイリスクです。機構が破綻した場合、廃炉のための拠出金(廃炉資金)はどうなるのでしょうか?

(経産副大臣)
適正に管理していく。

(くしぶち万里)
廃炉は、原発推進かどうかに関わりなく進めるべきものであり、同じ「認可法人」が扱うことには無理があります。放射性廃棄物処理を扱う「原子力発電 環境整備 機構(NUMO)」あるいは放射性廃棄物や最終処分の資金管理をする「原子力 環境整備 促進・資金管理センター」の方がふさわしいと考えます。

最新の令和3年度版「原子力白書」にも、次のように書かれています。
(パネル2)

廃止措置は、「施設の解体や除染から出る放射性廃棄物の処理・処分と一体的に進めることが必要」という一文、ここからも、そのための資金管理は、再処理機構より「原子力発電 環境整備 機構(NUMO)」や「原子力 環境整備 促進・資金管理センター」のほうが適切なのは明らかです。

廃炉拠出金は、電気代に上乗せされ国民負担となるわけですから、集められた廃炉資金が、廃炉の確実な実施につなげる責任を負う機関となるよう、法案の修正を求めます。

最後に、3.11東電福島原発事故から、わずか12年しか経っていません。事故原発の廃止プロセスも何も進んでおらず、汚染されたものをどこに処分するのかも何も確立されていません。

そのようななか、原発推進に大きく舵を切るGX電源法案は、30年も経済成長しない我が国をさらに衰退させ、いつ来るかわからない地震リスクと事故リスク、そして、最大の安全保障リスクに私たちを晒すものであり廃案しかありません。そのことを強く求め、私の質問といたします。