衆議院国交委員会・派遣メモ

(クロアチア・ドブロブニク市の市議会議場)

れいわ新選組の衆議院会派に一名枠が割当てられ、
衆議院の国交委員会による5年ぶりの派遣団6名に、唯一、女性議員として参加してきました。

体力勝負の強行軍でしたが、濃い内容の現場に触れることができ、
関係者の皆様へこの場を借りて御礼申し上げます。

◯メンバー6名:自民党3名、公明党1名、立憲民主党1名、れいわ新選組1名
◯日程: 2023年7月17日(月)〜26日(水) 6泊10日(その他、機中泊)
◯場所: ①クロアチア・ドブロブニク市、スプリット市
     ②エジプト・カイロ市
     ③インド・デリー市
◯目的: 港湾関係、国境沿岸警備、インフラ投資(経済特区)、観光業のあり方など

衆議院国交委員会としての派遣目的はもちろんですが、
個人的に、以下の点についても、調査や情報収集をすることができたのはとても有意義でした。

*ウクライナ戦争後の影響と変化(エネルギー、食料事情など)。その対策の内容と各国比較。
*この30年における各国の変化と日本経済との対比  
 (3カ国とも、私はNGOとして訪問したことのある国なので当時からの変化と現状について)
*核兵器禁止条約に対する各国の姿勢
*女性の政治参加と比率、ジェンダー政策のあり方

とくに感じたのは、想像以上に、日本経済が弱くなっていること。
日本の経済や円の価値だけでなく、20-30年前に比べて、
明らかに、日本の製品や国に対する関心が、相対的に下がっていることを実感しました。

国内に生きる人びとの生活を底上げし、経済を復活させることが、なにより必要です。
それが日本の国力となり、国際社会での競争力や安全保障にもつながっていきます。

なんとしても「失われた30年」を取り戻す。
改めて、そのための積極財政と政策に力を入れていきたいと思いました。

また、国際秩序が変化していくなか、特にインドとの関係はますます重要になっていくと感じました。
世界の状況を肌で知ることは、やはり、極めて大切です。

=======
【クロアチア --- ドブロブニク市、スプリット市  】 

(旧市街の一部。クロアチアはアドリア海に長い海岸線を持つ)

私が、初めて、ドブロブニク市を訪れたのは1997年。旧ユーゴ紛争が終わって間もない頃でした。

ボスニア・ヘルツェゴビナとモンテネグロに国境を接するこの町は、
砲撃にさらされ、多くの犠牲者を出し、当時は屋根や壁が砲弾の跡だらけで、
現地の人から「ほんの一部の屋根の瓦が赤いところだけが修復済み」と教えられ、
まだまだ町の復興まではほど遠い、悲しみにあふれた状況だったことを思い出します。

それから、25年。すっかり町は回復し、大勢の人々で賑わっていました。
元々、アドリア海に面した世界遺産の町で、宮崎駿監督の「紅の豚」の舞台になったところでもあります。

戦後復興と周辺国の和平への努力を続ける一方、
オーバーツーリズム対策に力を入れる観光業の取り組みは、
行政はもちろん、人々の、町の歴史と自然と文化への誇りがベースにあると感じました。

●NATO加盟2009年 、EU加盟2013年 
●今年1月から通貨が「ユーロ」となり、庶民にとっては物価高が加速
●オーバーツーリズム対策
 持続可能な観光(歴史、自然、文化)のための政策
 人数制限化と観光の質の向上 →バスやホテル、レストランなどのIT管理と行政の責任
●沿岸警備、海洋国家
 海軍と国境警備隊の棲み分け、難民受け入れ(ウクライナ避難民2万人)
●旧ユーゴ紛争後の復興と和解
 砲弾の跡の修復事業、セルビアとの和平は停滞(ロシア)、NATO加盟、EU参加
◯核兵器禁止条約
 未加盟、NATOに同調、原発はオーストリアの影響で未稼働
◯女性の政治参画
 2015年初の女性大統領(50歳)、32%、クオータ制あり(比例代表制)

【エジプト---カイロ市、スエズ運河】

(スエズ運河の入口。両脇に、大きなタンカーが連なる)

世界の海上交通と貿易の生命線、スエズ運河。

かつてNGO時代には数回船でここを通過していますが、
常に、一方通行で10時間以上の順番待ちしなければならなかった運河が、
双方向の通行ルートを持つ、New Suezu Canalとして新たに開通されていました。

そのための大規模なインフラ事業と、運河から直接入港できる経済特区の建設や、
首都機能の移転計画と工事は、想像を上回るものでした。

また、自然エネルギーについて、
南のアスワン地域では太陽光、紅海では風力の発電に力を入れ、
「グリーン水素」プロジェクトで、世界で「水素のハブ」をめざすという計画は印象的でした。

現在の再エネ比率は20%、2035年までに42%に引き上げる目標だそうです。
コストも安い、質も良い。
グリーン水素やアンモニアで船を走行させる、初の免許発行は今年か来年とのこと。

●スエズ運河の双方向通行ルート、2030年までに「グリーン運河」
 現在は9割の稼働率(100隻/日、日本7%)、インフラ投資、一方通行時代との差
●新経済特区、観光庁(ピラミッド、大エジプト博物館の建設)
 砂漠の中に行政区を建設、首都移転計画、物流、水、歴史のコンテンツ
●エネルギー、穀物
 LNG輸出、再エネ(太陽光/アスワン、風力/紅海)、グリーン水素のハブ
◯「アラブの春」の失敗とその後
 エルシーシー大統領の安定政権、スエズ運河、インフラ
◯核兵器禁止条約
 積極姿勢、中堅国家としての存在感、対イスラエル
◯女性の政治参画
 憲法改正して30%女性議員を明記(現在22%)

【インド・デリー市】

(インド観光省。世界遺産は40カ所におよぶ。歴史資源の保護にモディ首相は力を入れる)

(道路交通省。ムンバイからの高速道路やデリーメトロ。インド北東部のインフラ開発について)


ついに、インドの人口は中国を追い抜いて、約14億2860万人と報道されています。

現在、平均年齢は29歳。日本のそれは48歳。この差は大きい。

これからインドは、若いパワーで、日本の1960年-1990年における高度成長期の時期を迎え、
独立100周年となる24年後には先進国の仲間入りをめざす、という勢いのある話が次々と出ていました。

中間層の人々が人口の恩恵を受け、生活の質を改善していく。
そのためには、道路のインフラ整備や、地方の都市開発、飲料水や環境・グリーン化に
力を入れていく計画が立案・実行されています。

一方、大きな国ですから、言語や民族、地域が多様で、カースト制度もあるなか、
国の都市政策と、まちづくりの主体である自治体がどうやって調整していくのか、
課題も多そうです。

また、「Act East」の外交・経済連携政策はじめ、
米露双方とつながるインドの今後の役割や存在感は、これから重要性を増していくと思われます。

●外務省、道路交通省、観光省(タージマハール、世界遺産)
インド北東部のインフラ開発、2030年公共交通の電動化、歴史資源の保護と人材育成。
ウクライナ戦争とロシア、国連改革、アクトイースト

●都市開発及び住宅局
モビリティ、飲料水・環境の安全、都市開発のモデル化、グリーン投資

●経済成長と日系企業
再エネ、石炭7割、原発1割以下、マイナンバー(NEC)、スマートシティ

◯核兵器禁止条約
反対。核保有国(P5との平等性を重視)、日印原子力協定は動いていない。

◯女性の政治参画
初の女性大統領(指定部族出身)、地方議会でクオータ制あり。

(派遣団及び関係者の皆様、お世話になりました)