【国会質問】小笠原諸島の子育て・医療・福祉

3月15日、国土交通委員会で質問に立ちました。テーマは、奄美諸島・小笠原諸島特別措置法です。

私は、2018年、「小笠原諸島・返還50周年」の夏に行ったことがあります。
ボニンブルーと呼ばれる、真っ青な海を24時間船に乗り、太平洋のど真ん中へ。

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終戦記念日には、「小笠原諸島戦没者追悼式典」にも参列して献花をしてきました。

今も山の中に、例えば昭和18年と刻まれた水筒や茶わん、
あるいは防空ごうなど、戦争の傷痕がそのまま残っており、
人々はそのような日常の中に現在も生きています。

また、島で最初にできた教会の牧師さんは、偶然ですが私の大学の大先輩で、
無人島だった小笠原に入植したポルトガル人の末裔です。
小笠原諸島は、こうした西洋と我々東洋、そしてポリネシアという南洋、このような人々が交差する土地なのです。

さて、小笠原諸島のこの30年間の人口増減率は、全国がマイナス1,5%、
世界遺産に登録された時期を除くと、内に住む人よりも外に出ていく人の方が多い、
つまり、人口の社会減が続いているということです。

反対に、自然増はずっと続いますが、そのペースが平成20年ぐらいから明らかに落ちている、これは懸念材料です。

小笠原村の人口構成を全国と比較してたのが、パネル1です。

この図から、20代後半から40代が全国平均を大きく上回っていることが分かります。

小笠原諸島は若い人が少ないのではなく、
子供を産み育てる世代の人は全国平均よりもかなり多い比率になっているのです。

では、なぜ自然増が減りつつあるのか。

理由の1つに、小笠原では出産ができないことがあるのではないでしょうか。

1年で20人くらいいる妊婦さんは、全員が内地で出産するのですが、
船の関係で妊娠8か月で離島、出産後もしばらくはそこにとどまらなければいけないそうです。

また、全世代共通の課題として、医療に不安があるという声もありました。

その背景として指摘したのは、小笠原の振興開発を考える国の審議会に医療や福祉や子育ての専門家がいないことです。

村の人々が医療や福祉を一番の課題としているのに、
村の将来を決める審議会に専門家がいないのはやはりおかしい。

メンバーに専門家を入れるよう国交大臣に要請するとともに、厚労省とも連携するよう求めました。

さらに、小笠原の人が考える「望ましい村の人口規模」を見ると、驚きの事実が分かります。
「これ以上人口は増えなくていい」という声の方が圧倒的に多いのです。

法改正による定住や移住に期待するより、
村の医療をもっと充実させて、自然増をもう一度増やしていく流れをつくることの方が重要ではないでしょうか。


小笠原の真っ青な海は、世界一です。
じつは、くしぶち万里はダイバーです。

イルカの群れや大きな回遊魚、さらに固有種の植物など、生物多様性の豊かさも特徴です。

それらの世界遺産を守り、持続可能な地域振興を図るには、
まずは、この島に生きる人々の安全と安心、それが最優先だと指摘して、質問を終えました。

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