【国会質問】住まいは権利!空き家対策について

5月10日(水)、国土交通委員会で「空き家対策推進法案」の国会質疑を行いました。
この20年間に居住目的のない空き家は約1.9倍となっていて、これからも増え続ける見込みです。

今回の法案では、管理が行き届かない空き家を「管理不全空き家」と指定して、
固定資産税の減免取消しなどができるようになります。

しかし、それだけでは問題は解決しません。

空き家を改装して、収入が低い人などに貸し出し、
「セーフティネット住宅」として活用していくことを提案しました。住まいは権利!です。

さらに質疑では、太陽光パネル設置を組み合わせた調布市の事例をもとにしながら、
空き家を有効に利用していく方法を議論しました。

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今回の法案では、市区町村が、空き家活用の促進区域を指定できるとされておりますが、既に自治体レベルでは、もう10年以上前から問題が指摘されそれぞれ取組みをしているものと理解しています。

例えば、私の地元、調布市の空き家等対策計画では、利活用モデルの確立として「5つの柱」を掲げています。本日は、このうち、5番目の「セーフティーネット住宅」としての空き家等の有効活用について質問いたします。


「セーフティーネット住宅」として空き家を利用するには、そのままでは難しい面もあり、国もそのことは認識しているため、改修費の支援制度を設けているのが実情です。

しかし、この制度、どれぐらい利用されているのでしょうか。

国交省によれば、データのある令和3年度で、国の補助が149件、自治体を通じた補助が34件、すなわち全国の一年間で183件しかありません。

これは2年前の数字ですが、居住目的のない空き家349万件と比べて、およそ2万件に一件、こうした利用しかない低調ぶりであります。

一つの理由として、補助額が少ないことが挙げられるでしょう(パネル①)。

補助工事の対象となっている項目が11も並んでいますが、複数行っても限度額は変わらないんですね。

例えば、国費の場合、バリアフリー改修等耐震改修を行っても僅か100万円です。また、そもそも省エネ改修は50万円が限度であり、太陽光発電パネルなど再生エネルギー関連は項目さえ載っておりません。

ここでもう一度、地元の例に戻ってみますと、調布市マスタープランでは次のような取組が紹介されています(パネル②)。

空き家バンクと耐震改修の支援、更に太陽光発電の設置をつなげる、いわば、3.11の大震災と原発事故後のモデル、ともいえる素晴らしい試みなんです。

また、改修の利用が進まない別の理由に、そもそも「セーフティーネット住宅」制度自体の問題もあるのではないかと考えます。

昨年の参議院国交委員会でも議論になっておりますが、「セーフティーネット住宅」情報提供システムのホームページを見ますと、登録数は全国で86万戸、東京では5万戸と結構あるように見えるんですが、空き室中なのは全国で1万5000戸、東京だと591戸しかありません。

しかも、そのうち保証人が要らず、家賃保証も不要といった低所得者に優しい物件、これは全国で1600戸、東京で41戸しかないんです。さらに、低所得者や高齢者などの専用住宅に絞ると、全国で78戸、東京では2戸、たった2戸しかありません。

増え続ける空き家、一方で、この30年間賃金が上がらず、コロナそして物価高。こうした三重苦で、若者も高齢者も生活困窮者が増えています。このような現状を見れば、「セーフティーネット住宅」として活用することを一層重視する必要があると考えます。

斉藤大臣にお聞きいたします。

空き家の早期利活用における「セーフティーネット住宅」改修費支援について、まず、
1つ目に、太陽光発電パネルの設置を項目に加えること、
2つ目に、省エネ改修の上限額を引き上げるとともにメニューごとの上限にして全体の支援額を積み増すこと、
そして3点目、「セーフティーネット住宅」そのものについて、居住支援関連予算を大幅増加してはどうか。

以上、大臣のお考えをお聞かせください。

(斉藤鉄夫・国土交通大臣 )
まず、第1点目の「セーフティーネット登録住宅」の改修費支援に太陽光パネルを追加するべきではないかというご質問について、住宅の確保に配慮が必要な方々の住まいの確保というのは重要な課題です。配慮が必要な方々の入居を拒まない、「セーフティーネット住宅」の供給を進めるため改修費への支援を行っているところです。

このうち、省エネ改修については、窓や壁などこの断熱工事を支援しておりますが、太陽光パネルの設置費用については、固定価格買取り制度、FITの対象となっていることを踏まえ、本支援制度における補助対象となっておりません。

一方で、住宅金融支援機構においては、太陽光パネルの設置を含め、賃貸住宅のリフォーム工事を対象として、全期間固定金利の融資を行っているところでございます。

国土交通省としては、「セーフティーネット住宅」においても、固定価格買取り制度や融資制度の周知を通じて、太陽光パネルの設置が進むよう、取り組んでまいりたいと思います。

それから2点目でございますが、いわゆる補助上限額について、複数改修したときにはそれぞれに上限額を設定して、その上限額をプラスしたものにすべきではないかという提案ですが、

「セーフティーネット住宅」の改修のうち、省エネ改修への支援については、補助上限額を戸当たり50万円としております。「セーフティーネット住宅」における省エネ改修の大半は高断熱の窓への交換であり、補助割合3分の1を前提とすると、150万円を超える窓改修は考えにくいことから、現在、十分に支援できる上限額が設定されていると考えております。

そのうえで、複数の改修メニューに取り組む場合については、それぞれの補助上限額のうち、最も高い上限額を全体の上限額にすることとしています。

そして3点目ですが、補助事業への予算額を大幅に増加すべきではないかという点でございます。

低額所得者や高齢者などの住宅確保に配慮が必要な方々が、安心して生活を送ることができるよう、居住の安定の確保を図ることは重要です。

平成29年に創設した「住宅セーフティーネット制度」では、入居支援等を行う居住支援法人や居住支援協議会の仕組みを設け、これらに対する支援を行っており、今年度予算においても、前年度より予算を増額するなど、支援の充実を図ったところです。

引き続き、必要な予算の確保に努めるとともに、居住支援法人や居住支援協議会、関係省庁とも連携し、住宅セーフティーネットの機能の強化に取り組んでまいりたいと思っております。

(くしぶち万里)
大臣、丁寧なご答弁をありがとうございます。

ただ、太陽光発電パネルの件、FITがあるからカバーされるんだとお話しでしたけれども、もう買取り価格がとても安くなっていますので、是非これは、太陽光パネルの設置メニューも項目に挙げていくよう検討をお願いしたいと思います。

日本の住宅政策そのものが、公的な賃貸住宅は年々削減され、低所得者や高齢者が低家賃で安心して住める、こうした公営住宅が圧倒的に不足しています。

れいわ新選組は、「住まいは権利!」を公約に掲げ、今回の空き家対策推進法においてはペナルティーの強化だけでなく、空き家の利活用により「セーフティーネット住宅」の充実、そして「公共住宅のストック」を計画的に増加させるよう、是非とも大臣にはお願いをして私の質問といたします。

ありがとうございました。