【国会質問】気候変動・多摩川の水害対策について

「気候変動は、いのちの問題です」と、くしぶち万里は言い続けてきました。
地球環境の問題であるだけでなく、災害の問題、食料の問題であり、
さらにエネルギーの問題、安全保障の問題で、ひいては、福祉の問題でもあります。
海に囲まれ山の多い島国には、世界でも気候リスクが最も高い国と言われ、
豪雨や洪水のみならず、海面上昇の影響もあり、
数十年後に人が住めなくなる地域が出ることのないよう、今から、気候対策・防災対策が急務です。
地元の調布と狛江では、大型台風によって多摩川が氾濫し浸水被害に見舞われる災害がありました。
5月19日、国交委員会にて、大臣に、具体的な対策を求めました(下記参照)。
また、その週末には、多摩川河川敷における防災訓練にも参加してまいりました。
日々、救助活動の訓練にあたられている皆様に、心から敬意を表します。


◇◇◇
今回の「気象業務法」の改正によって、国と自治体が連携して洪水などの予測業務が広がることになります。
2019年10月12日、大型台風19号によって、
私の地元である狛江市は、床上、床下浸水を合わせて、448件、
調布市でも214件という、大きな被害が発生しています。
今日は傍聴席に、地元で被災された方々も来ております。この件を含む水害対策について質問をさせていただきます。
このときの大きな原因は、下水道管に集められた雨水が、
多摩川に排水するための猪方排水樋管、そして、六郷排水樋管、
そこから水が逆流して市中にあふれ出したことにあります。
一点目は、その樋管の遠隔操作化の状況です(パネル①)。

多摩川が増水し、排水樋管に近づけないという事態が発生し、
豪雨によって多摩川の水位が高くなったため、
樋管の職員を退避させた際、水門を開けたままだった、
このことを一因として、水が逆流したとされています。
この教訓を踏まえ、狛江市では、両樋管を遠隔で操作できるようにしたんですね。
これを全国的に見てみますと、国は令和7年までに、
水門、樋管など、約3000施設の遠隔操作化を完了するとしているのですが、
国交省によると、この3000か所はすべて国の管理ということなんです。
つまり、都道府県が管理するものは遠隔化加速の対象とはされておらず、
市町村管理のものは数すら分からないということなんです。
このままでは、狛江市と同じような理由による水害が全国各地に発生する可能性があります。
いちばん市町村が住民に近いわけですから、予め、減災のために遠隔化加速の対象とすべきではありませんか?
また、2点目として、多摩川の河川整備には大きな問題が残っています(パネル②)。

今年の3月に改定された、多摩川水系の河川整備基本方針です。
まず、右側の図ですけれども、水量を計測する基準地点、石原のピーク水量、
ここも地元の調布市に当たりますが、このピーク水量が約1.2倍の増加となりました。
これは、気候変動を踏まえた想定となっていることは大変評価ができるんですけれども、
いつ頃までに河川整備が行われ、どれぐらいの費用がかかるのか、
この基本方針ではよく分かりません。
左側の図は、そもそも、河川の調布市側は暫定堤防区間のままであり、
計画堤防の整備完成時期も明らかになっていません。
そこで、斉藤大臣に、2点質問いたします。
全国の水門、樋管の遠隔操作化について、
国はもちろん、都道府県や市町村など地方自治体が管理するものも含めて、
現在の進捗状況はどうなっているのか、また、今後の目標はどうなるのか、お答えください。
そして、2点目。多摩川のピーク水量が変更になったわけですが、
この変更に対応した河川の整備、この計画の改定時期や完成する時期、
とくに計画堤防の完成がいつ頃になるのか、必要となる予算はどれぐらい見込まれるのか、
それぞれお答えをお願いいたします。
(斉藤鉄夫・国土交通大臣 )
まず、第1点目の、小規模河川における遠隔化でございます。
国土交通省では、小規模な河川管理施設については無動力化、無動力化というのは、バックウォーター現象が起きないように、自然に門が閉まるものですが、この無動力化を進めております。
無動力化が困難な施設については遠隔化を推進しておりまして、令和2年12月時点で、約3割の施設で無動力化、遠隔化を実施しております。
また、地方公共団体が管理する河川管理施設についても、操作の確実性や安全性の確保が重要であることから、施設規模に応じた無動力化、遠隔化を推奨するとともに、交付金等により支援しているところでございます。
次に、内陸部の遠隔化目標をどうしているのかということでございますが、令和7年度を目標とする現行の第五次社会資本整備重点計画では、河川における排水機場の遠隔監視・操作化について目標を定めております。
操作の確実性や操作員の安全性の確保などの観点から重要ですので、次の社会資本整備重点計画においては、水門や樋門等も含め、対策の実施状況を踏まえつつ、どのような目標を設定すべきか、次期計画においてはしっかり検討して盛り込んでいきたいと思っております。
そして、2点目に、多摩川地区の石原地点の目標についてですが、多摩川においては、気候変動による降雨量増加を踏まえて、長期的な河川整備の目標を定める河川整備基本方針を今年3月に見直したところです。
これを踏まえて、堤防の整備や河道掘削など、当面、20年から30年程度の間に想定する具体的な整備内容等について盛り込む河川整備計画の改定に着手いたしました。
ご指摘のあった堤防の整備などを含めて、具体的な河川整備の内容や必要となる概算事業費につきまして、河川整備計画を検討する中で整理してまいります。
この多摩川においても、しっかりと中流域、早期の治水安全度向上に取り組んでまいりたいと思っております。
(くしぶち万里)
時間ですのでまとめますが、大臣、丁寧なお答えをいただきました。ただ、明確な目標の時期を是非示していただき、来年度予算に盛り込んでいただきたい。
気候変動の適応対策は、急務であります。
調べてみると、水管理・国土保全局の河川関係の予算は、令和2年度の5,900億円から令和5年度当初予算の4,300億円と、3年間で3割近くも減っているというのは、大変問題であると思うんです。
是非、ここに強く力を入れていただくようお願いいたします。