緊急事態宣言より緊急経済対策を

新型インフルエンザ等特措法改正法案が、13日、たった3日の審議で成立しました。

国民の自由や権利の制限につながる「緊急事態宣言」を総理が発令できるもので、集会や報道の自由が脅かされかねない懸念は払拭しておかなければならないのに、それが不十分なままの拙速な法改正であり、私は強く抗議したいと思います。

そもそも、
もともとの新型インフルエンザ等特措法で今回の新型コロナも対象とし、すばやい対応ができたのにそれをやらず、政府の「やっている感」を出すためだけの法改正であること。
(すでに一斉休校やイベント自粛が要請され、各自治体や事業者はそれぞれ苦渋の判断で対応を進めています)

私が最も重要視したのは、採決前にSNSでも指摘しましたが、緊急事態時には政府が報道の自由を制限することができ、国民の知る権利を脅かしかねないことです。

衆院法務委員会にて内閣府副大臣によって一度なされた政府答弁が、衆院可決後、参議院採決前に撤回されるという事態で迷走しました。条文自体は変わっていないのですから、いつまた勝手な法解釈がなされるやもしれず不信感は拭えません。

安倍政権の本音とも私には思えるので、以下に、13日撤回したとされる、11日の衆院法務委員会の答弁を残しておきます(速記録より)。

「(緊急事態には)民放テレビ局も指定公共機関に指定が可能なのか?」
という山尾志桜里議員の質問に対して、宮下内閣府副大臣は、

「今回民放は指定しませんけれども、法の枠組みとしては、民放を指定して、今この情報を流してもらわないと困ると指示を出す、そして放送内容について変更・差し替えをしてもらうということは、本来の趣旨に合う、それらはあり得るものだと思っています」

つまり、緊急事態宣言が出れば、総理は民放テレビ局の報道内容について指示や変更が可能ということになり、例えば、政府の方針とは違うPCR検査の全員受診を考える議論や、個人事業主やフリーランスに対して貸付はおかしいという声を報道することが難しくなりかねません。

これは、言論の自由や、国民の知る権利にかかわる内容で、極めて深刻だと思います。

仮に、一時期のみ必要とされる場合でも、
・指示する範囲や内容をどのように限定させるのか?
・指示の行き過ぎを判断した場合に、国会はその制限をコントロールし得る条項はあるのか?
本来なら、こうした民主的な統制ができるよう、もっと審議が必要なはずです。

今回政府は、これを参議院採決前に慌てて撤回しましたが、一日でコロコロ変わる答弁をほんとうに信用できるでしょうか。私は、できません。

「国会の事前承認」は入らず、法的拘束力のない付帯決議による「事前報告」では曖昧です。

本来、災害や原発事故などの国家的な非常事態、あるいは、気候変動の影響において懸念される感染症リスクに対しても、あらゆる事態を想定し、国民の生命を守る備えと危機管理は必要であると思います。しかし、それは平常時に冷静に徹底して議論すべきものと考えています。

新型コロナ対策で、今もっとも必要なのは、
感染拡大を防ぐしっかりした医療体制と、国民の不安を取り除くための力強い緊急経済対策と消費税ゼロ政策ではないでしょうか。

12日、一丸の会・馬淵澄夫代議士とれいわ・山本太郎代表が共同代表を務める「消費税減税研究会」で、今回の新型コロナによる経済危機対応として、消費減税を柱とする「緊急経済対策」を早急に取りまとめる方針を確認しました。

消費税を5%に下げれば、13.5兆円/年。
0%にすれば、27兆円/年の規模になります。
(約1ヶ月分の給料や売り上げが戻ってくるイメージですね)。
加えて、個人給付にあたるしくみなどを含めて数兆円の財政出動が考えられます。

週明けには、「消費税減税研究会」からの緊急提言を発表する予定です。