令和

万葉集の巻五の序にある、
「時に、初春は令月にして、気淑く風和ぐ」という、
大伴旅人が書いた文章から、新元号は「令和」と決まったことが発表されました。

私が、恐る恐る(?)、和歌を詠み初めてから5年。
一日一首を詠む、と心に決めて、途中ブランクはあるものの、
池田塾の仲間とともに、毎日詠歌を鍛錬している者として、
また、約40年続いている万葉集のサークルに参加する者として、
万葉集の一節から、新元号の文字が取られ、
元号に、自然を詠んでいるという点は、とても嬉しいです。

さらに言えば、これは、梅の花が咲く庭で宴会をした時に詠まれた
歌32首と、故郷を思う歌2首、そして、追加の梅の歌4首の序文ですから、
いわば、その本文とも言える、合計38首の歌そのものを
じっくり味わうことで、令和の意味もぐっと深くなるだろうと感じます。
毎日一首ずつ、本歌取りをしてみようと思っています。

ちなみに、この典拠は、中国の「文選」。
張平子の「帰田賦」には、
「於是仲春令月、時和気清」とあります。

当時は、漢文化や漢学から「まねぶ」(学ぶ)ことが学問であり教養でした。
「典拠論」という学問まであった時代。
こうして、中国の古典とつながりながら日本の文化は育まれ、
独自の伝統文化として今に引き継がれていることを身近に感じるきっかけに
なるといいですね。

なお、細かいようですが、
万葉集では、令月は初春(一月)。
帰田賦では、令月は仲春(二月)。

一月の清々しい気持ちで、春を詠んでいるのは
日本らしいなあ、と感じます。

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